勤務医を続けるか、転職するか、開業するか
私はこれまで約20年間、医療業界に関わり、多くの先生方のキャリアについてお話を伺ってきました。
その中で感じていることがあります。
それは、医師が働く環境を変えたいと考えたとき、必ずしも開業が最善の選択肢になるわけではないということです。
勤務医として働き続けること、別の医療機関へ転職すること、そして自分自身でクリニックを開業すること。
どれも医師としてのキャリアを考えるうえで、大切な選択肢だと思っています。
なぜ開業したいのか
開業を考えている先生方からご相談をいただく際、私は「なぜ開業したいと考えているのか」ということを大切にしています。
ご自身の理想とする医療を実現したいという先生もいれば、現在の職場環境や勤務条件に悩み、開業を考え始めた先生もいらっしゃいます。
もちろん、どちらが良い、悪いということではありません。
ただ、現在の職場に対する不満が開業を考えるきっかけになっているのであれば、少し違った角度から考えてみてもよいのではないかと思っています。
例えば、現在の勤務先では実現できない医療が、別の医療機関であれば実現できるかもしれません。
勤務時間や人間関係、診療方針などに悩んでいるのであれば、転職によって解決できることもあると思います。
実際に、開業を検討されている先生に対して、転職という選択肢をご提案したこともあります。
開業することと、医師として働くことは違う
開業するということは、医師であると同時に、経営者になるということでもあります。
勤務医であれば、基本的には診療を中心に仕事をすることができます。
しかし、開業すれば、診療だけではなく、スタッフの採用や労務管理、資金繰り、設備投資など、さまざまなことを考えなければなりません。
もちろん、こうした経営にやりがいを感じる先生もいらっしゃいます。
一方で、患者さんの診療にできるだけ多くの時間を使いたいと考える先生にとっては、経営者としての仕事が大きな負担になることもあります。
私は、医師として優秀であることと、経営者としての適性があることは、必ずしも同じではないと思っています。
だからこそ、開業を考える際には、どのような医療を提供したいのかだけでなく、どのような働き方をしたいのかについても考える必要があるのではないでしょうか。
開業しないという選択もある
私は、開業そのものを否定しているわけではありません。
実際に、開業することで理想としていた医療を実現し、生き生きと診療されている先生方も多くいらっしゃいます。
ただ、開業することが医師としての成功を意味するわけでもないと思っています。
勤務医として専門性を高めていくことも、地域の医療機関で長く患者さんと向き合うことも、医師として素晴らしいキャリアだと思います。
また、医師としての経験や知識を生かせる場所は、必ずしも医療機関の中だけではありません。
大切なのは、自分自身が納得できること
医師のキャリアについて考えるとき、私は一つの正解を求める必要はないと思っています。
同じ診療科であっても、先生によって目指している医療や大切にしていることは異なります。
仕事を中心に考える先生もいれば、ご家族との時間やご自身の生活を大切にしたいと考える先生もいらっしゃいます。
また、年齢や経験、置かれている環境によって、考え方が変わることもあるでしょう。
だからこそ、周囲から勧められたから、あるいは今の職場がつらいからという理由だけで、大きな決断をする必要はないと思っています。
開業することも、転職することも、勤務医を続けることも、どれも大切な選択肢です。
大切なのは、どの道を選ぶかではなく、なぜその道を選ぶのかということではないでしょうか。
悩んでいらっしゃる先生がいましたら、少しだけお話をお聞かせいただければ幸いです。
先輩医師とは違う角度からお話ができるかもしれません。
株式会社DEPOC
代表取締役 安岡俊雅


