〈社長対談③〉株式会社C'サイドUP Company 代表取締役 川東 知也様

(安岡)

本日は、様々な医療機関や福祉法人で、コンサルティングや経営支援を行っている株式会社C'サイドUP Company 代表取締役 川東知也様にお話をお聞きしたいと思います。それではよろしくお願い致します。



(川東様)

よろしくお願い致します。私はもともとMRという職種からスタートしました。その後、様々なご縁で、介護現場(ヘルパー業務)から社会福祉法人の事務長、施設業務や、クリニックの開業支援、また、その継続支援として医療法人の理事、M&A等に携わっております。現在では、東京と千葉で介護事業を展開しています。

切り口としては、人事、労務の経験が長いので、人の採用を中心とした代行や人の手配、規定や就業規則周りを社労士さんにもお願いしながらお仕事をさせていただいています。


(安岡)

ありがとうございます。自分もMR出身ですが、元MRの仲間が増えてきた気がします(笑)。


(川東様)

はい。完全にサラリーマンを辞めてからは、いろいろな法人に所属しながら今年で8期目です。


(安岡)

川東様はメーカーと医療機関側、両方の立場に立つというご経験を持っていますので、今回は、医療機関様とコンサルタントの方々、メーカーさんとの関係について、お話を伺えればと思っています。

まず、医療機関の新規開業について、教えて頂けますでしょうか。


(川東様)

まず、開業が初めてという先生が大半だと思います。そうすると、「開業ってこんなものかな」と思われている先生が多くいらっしゃいます。開業して5年10年と経つ中で、他の先生などから、「実はこうやればもっとうまくできるよ。」と耳にして驚かれ、そこで相談を受けることが多くあります。

どうしても開業の際は病院や大学に所属しながらの準備になるので、卸さんに一任したり、税理士さんのネットワーク任せ、銀行さんにお任せになってしまうことが多い感じがします。そこでよく起こるケースとして言われるままに手数料を払っているケースがあり、そこでいつの間にか想定以上の運転資金が使われてしまう。

先生のコンセプトと合っていない場所に誘致され、言われるままに開業してしまったケースも聞くので、そのあたりを客観的に見ることが重要だと思います。


(安岡)

そうですね。コストを最適化する為には、医療のセカンドオピニオンと同様、いくつかの違う切り口で見てもらうことも一つですね。例えば税理士さんは数字の専門家としての見方があり、コンサルタントの方から見るとクリニックの特徴を出すための費用を掛けたほうが良いなどのアドバイスなど、医療も同様ですが、専門によって見方が変わってくるので、いろいろな切り口で確認することが大事かと思います。


(川東様)

例えば、医薬品卸の場合だとタダで新規開業できますという会社もあれば、医療コンサルタントでデポジットにて報酬を貰って医療機関側の立場でメーカーと交渉をしたり、場所を探してくる方もいます。多くがこの二つのパターンですが、どちらもメリット・デメリットがあるかと考えています。


(安岡)

お金を払って医療コンサルタントに頼んだほうが、結果的には安いというような話でしょうか?



(川東様)

いえいえ(笑)どちらかと言えば金額的なところ以外で大きな差が出ますね。労務、役務をどこまでやって頂けるのかに尽きるかと思います。

例えば、新規開業のパッケージをコンサルタントにお願いした場合、手数料がかかります。その払った額に対して役務の提供がどれぐらいあるのか。事務長代理で入って中の人間として全部やってもらえる場合もあるでしょうし、コンサルティング費用に加えて、給料を払ってでもやってもらった方が良い場合もあると思います。

世の中、完全にタダという話はないと思っています。無料でやる代わりにこの業者を使ってください、ここはうちの会社にやらせてくださいというように、どこかで回収する。そこは慎重になられたほうがいいのかなとは思います。


(安岡)

よくわかりました。GiveとTakeのバランスが重要という事ですね。無料ということはどこかで回収されますし、有料であれば、何の役務が提供されるのかを見極める必要があると。それでも先生から見て、見えにくいところがあるかと思いますが、川東さんから見て、何かコンサルタント選びの基準はありますか。


(川東様)

一つはやはり先生ご自身が任せて安心な人。また、話しやすく相談しやすい人が前提かなと思います。それから、さっき言った労務、役務をどこまでやってくれるのか。一般論を話すだけのコンサルタントさんだと、先生の想いや地域のニーズを見極めて形にすることが難しいと思います。しっかりと面談をして、私はここまでにしますよという人、この人に任せようと思えるコンサルタントさんを見つけることが大事だと思います。また、単純に職務経歴を聞くだけではなく、経験値として、実際に担当したクリニックを見たり聞いたりすることも大切です。また、経営サイドだけでなく、運営(医療従事者からの目線)サイドから見てのサポート、先生へのアドバイスが出来るかがポイントになるかと思います。


(安岡)

とてもよくわかります。総論や概論ではなく、現場に行って調べて、先生がやりたいことと合うかどうかを見てもらえるのかというところですね。


(川東様)

そうですね。例えるなら、家を建てるときにハウスメーカーの建売にするのか、個人の設計士さんにお願いするのかと同じぐらいの差だと思っています。有名な建築事務所さんに設計料を払ってでも思い通りの家を建ててもらったほうが、相対的に先生の満足度、価値からみた時に安く感じるケースがあります。※設計事務所の役割には、設計(デザイン)、工事工程管理、価格交渉(材料一つ一つ交渉する)がmissionです。

その代わりその設計事務所の方に出会うのに時間がかかったり、コンセプトを理解してもらうのにかなりの労力が必要です。

ハウスメーカーさんが悪いとは言いませんが、単純にパッケージ的な家を選ぶことは理想の追求でなく、諦めの中から妥協的理想を求める事が多くなりますが、時間と労力を別のところに注ぎ、時間という価値を手に入れられます。先生はどちらで開業して今後の運営、経営につなげていきたいか。ご自身のタイプにもよるかと思います。


(安岡)

非常によく分かりやすい例えですね。WEBブランディングを行っている会社としては、一般的な総論のご開業より、一部でもオリジナリティを出した医療機関はブランディングしやすいかなと思います。患者さんに対して何が提供できるのか、客観的に見られているクリニックはとっても強いです。

川東さんのご経験やお考えから、ココにはお金をかけたほうが良いパターンなどはありますか。


(川東様)

お金の使い道については、コンサルタントさんにきちんとお金を払うことももちろんですが、建物や、使われる材料もそうですね。医療機器も、金額に見合った医療機器が来るかどうか。DEPOCさんのようにホームページという部分では、お金をかければ良いかというとそうではない。等身大のものが作れるかどうかがポイントです。価値に見合った投資ができるかどうか。

そういった意味では、ご開業される先生が、人と物とにどれだけお金をかけられるのか。特に、人に関しては、永続的に働いてもらうための仕組みが大切です。例えば、人件費が安いから新卒だけで回すという先生もいらっしゃる。そうすると患者さんが定着しなかったりして、結果的に損してしまう。そこはしっかりと給料を払って、長く勤めてもらうことで患者さんを獲得する。将来的なビジョンをどこに置くかでお金のかけ方は変わってくるのかなと思います。


(安岡)

とてもよく分かります。中にはこだわり過ぎてしまう先生もいらっしゃると思います。医療機器も、最先端の物を入れないと診療ができないのかというと、そうではない場合もある。どこまでのコストで開業がうまくいくかという判断が必要なのでしょうね。


(川東様)

お金をかければ華やかになっていくとは思いますが、最初の、数字で見る事業計画だけではなく、自分がどういう医療をどこまでやっていくのかを見定め、地に足の付いた事業計画を立てられたか。笑い話ですが、クリニックのコンセプト(経営理念)は何が良いかなと相談を受けたことがあります。クリニックのコンセプトがない先生も難しいですが、コンセプトがブレる先生もとても難しいです。当然ブレれば事業計画数字がブレます。



(安岡)

ありがとうございました。

次に、最近コロナの影響もあり、M&Aが非常に活発なり始めていると思います。M&Aはうまくいかないことも多々あると聞きますが、ご経験を踏まえて、M&Aの概要と最近の状況などをお話しいただけますか。


(川東様)

病院かクリニックかによってもニュアンスが違うかもしれませんが、基本的にM&Aということは、何かしら売りに出す理由が絶対にあります。

例えば、「継承する人がいない」「患者層が違い過ぎる」「先生のご専門の医療がその地域に求められていない」など、何かしらの売らなければならない理由があります。そこの見極めとマッチングがずれると、結果的に負の遺産をそのまま負として受け継いでしまいます。

リニューアルができて、リノベーションできる前提のM&Aであれば、マッチングできるとは思いますが、そこの見定めができない場合や、仲介者、悪い言葉で言うとブローカーに情報がねじ曲げられることによって、買い手に正確な情報が伝わらず、不幸が生まれるケースは多々あるかと思います。

そこで、先ほどのコンサルタントと同様にしっかりとした情報をしっかりと伝えてもらえるかどうかだと思います。ネット上でのマッチングみたいなM&Aもあるとは思いますが、正確な情報が入って来なかった為、痛い目を見るという事も耳に入ります。特に、M&Aでは物の継承だけでなく、人も引き継ぐケースが多い為、看護師さんや非常勤の先生と、自分との色やコンセプトが合うかどうかを、情報収集することが大事かと思います。


(安岡)

売りに出す理由というところで、私のイメージですと院長や理事長が病気や高齢でもう続けられない、そろそろ引退しようという時のM&Aが多いのかなと思っていましたが、別の要素が、あるのですね。


(川東様)

一般的に3分の1ぐらいはそういった理由ですね。でも、やはり大多数は売り上げ減少や職員とのトラブル、先生が勤務医に戻りたい、競合が近くにできて患者さんが来ないといったケースなども多く感じます。


(安岡)

やはり売り上げと人との関係ですか。


(川東様)

そうですね。

続けられない理由の3分の1が引退、その他の3分の2が売り上げ減少、競合、あとは職員トラブルなどの人事関係というイメージですね。運営に疲れてしまうパターンもあります。


(安岡)

引退や職員トラブルについては個人的な部分も大きいと思いますが、競合や売り上げの減少に関しては、対策はしたけれどもという話ですよね。


(川東様)

対策する体力がないケースもあります。例えば先生がもう高齢で、対策するより引退を希望される場合。そこを狙って新規開業、もしくは新規のモールを作って集客をする企画会社さんもあります。そうすると、少しでも値段が付けば良いという形のM&A案件として出てくる。そういったケースでは、医療モールとの戦いができる、もしくは特性が全く違えば成り立つこともあるかもしれません。


(安岡)

売り上げに関してですが、税理士さんとの話で、緩やかに売り上げが下がっている場合はテコ入れのポイントが見えづらいと聞きました。まだ何とかなると思ってズルズルいくと最終的にどうにもならなくなる。いつテコ入れするかはすごく難しいという話をされていた。少しM&Aの話から外れますが、テコ入れの際には何をポイントにされていますか。


(川東様)

ケースバイケースが多いですね。先生のお考えもありますし。

私はテコ入れというか立て直し業務も行っています。立て直し業務のポイントとしては、売り上げが単純に減ったのか、人が採用できずに病棟が空けられなくなって売り上げも下がっているのか、複合的な理由なのか、そこの見極めがあると思うので一概には言えませんが、私がよく見るのは新患の人数(新規で診察券を発行した人数)とその方々のリピーター率です。

カルテ上では前回から6ヶ月空けて受診した人も新患になってしまいますが、もともと診察券を持っている人ではなく、全く新規の患者数がどのぐらい減少しているのか。そして、新患が次にリピーターとしてどれぐらい来ているのかを見る。初めて来た人がリピーターで50%も来ないとなると、これは何かしらテコ入れをしないと新患が定着していきません。また、よくあるのが、新患が来なくても今の院長に患者が多くついていて、その人たちが来てくれているから安心というクリニックがあります。裏を返せば10年後の保証はないということです。例えば10年後は院長も引退、患者も高齢化して施設入居や入院、死去も考えられます。ここで考える仕組みは10年後も常に新しい患者が来て、リピーターもリピーターとして定着してもらえる座組作りです。


(安岡)

1回受診したきりそのまま来なくなってしまう、何か問題点なり理由があるということですね。


(川東様)

受付なのか、診療なのか、検査なのか、会計なのか、何かしら原因があるから次の来院につながらない。「うちは新患がたくさん来ているから安心です」と言われて見てみると、半年に1回、1年に1回受診する人を新患でカウントしていたりします。

それはもともといた患者さんですよね。そういった人を抜いた、本当の新規の患者さんがどれぐらい定着しているかを一つの指標として見るようにしています。


(安岡)

もともと来ている方であれば、新患ではなくて再来ということですね。


(川東様)

そうですね。カルテ上の新患ではなく、診察券を新たに発行した枚数というところですね。


(安岡)

ありがとうございます。M&Aのお話に戻しますね。

医療機関のM&Aにあたって、単純に先生が物件の紹介をされただけで、M&Aとは言えないのにも関わらず、お金を取られただけというブローカーの話も聞きます。その辺のお話をお聞かせいただけますか。


(川東様)

立場上、私もブローカーといえばブローカーなのかもしれませんが(笑)、基本的に紹介のエージェントとして入るときには、売り手か買い手のどちらかのエージェントとして直接入ります。また、相手方も直接仲介している人をメインにM&Aの業務を行っています。

M&Aを行う上で、間に情報、手を動かさない会社が2~3社入っているような場合があるのですが、まず初めに、その人たちにはいったんどいてもらいます。直接情報のやり取りをすることで、できるだけ早くオーナーさんに情報を届けて、早くジャッジをもらえるようにしています。

逆に私がオーナーさんと直接つながってないようなときは、情報を渡したら私は引いて、成立したら数パーセントぐらいくださいねという形で割り切って、必要以上に関わらない様にしています。情報の混乱を防いでいる訳ですね。


(安岡)

とても健全ですね。間に人が入ることで、情報の鮮度が落ちますし、お金も多く取られる可能性がある。代理人が1人ずつ、1社ずつなり出て交渉しないと、進むものも進まないですよね。



(川東様)

以前、紹介されたけどオーナーさんまでたどり着けなかったケースもあります。売り物件の話でしたが、オーナーさんとは会えず、直接決算書すらもらえなかった。よく聞いたら間に5人も入っていた(笑)ので、相手方にこちらとの交渉相手を絞ってもらい、正確な情報をもらって、これなら買えないなという判断が出来たので、M&Aとしては成立しませんでしたが買い手の方には納得感があった。こういった、オーナーにすら会えないといったような場合に、現状を打破するのがエージェントの役割かなと思います。

あと、とても重要なポイントですが、自分が損をしないことに必要以上に固執すると、買い手も売り手も損をするケースが多い気がしています。バランスを取って全員がWinWinになるような、取引をしないと、上手くいくものも上手くいかないと思います。


(安岡)

情報によっては希少価値が高いものもあると思いますが、情報だけ渡して多額の費用を発生させたり、売り手・買い手の両方から費用をもらう仕組みだと金額が上がれば上がるだけ手数料も増える。間に複数の紹介者がいて、多額の手数料が発生する。その様な事だと健全でないですね。客観的にクライアントのメリットになるような仕事をしていく必要がありますね。


(川東様)

そうですね。実際に手を動かした人がしっかりともらえる仕組みにして、払ったお金に対するリターンが感じられないと、買い手も売り手も納得できないかと思います。


(安岡)

ちなみに、M&Aは失敗することが多いと聞きます。それはその辺りが一番問題だと思いますか。それとも他に何かありますか。


(川東様)

案件の途中で、別のオーナーさんを探してほしいという話になる場合は、そういうことが多いですね。着手金を払ったのに期待した情報が来なかったとか、追加の費用だけはどんどん取られたというような話はよく聞きますね。


(安岡)

仲介者ではなく、売り手や買い手の立場としてのポイントはありますか。


(川東様)

まず、医療法人の継承については、今までの歴史を背負うという継承の部分かと思います。単純に理事の入れ替えでは済みません。今までどんな医療をされてきたのかをきちんと見極める必要があって、そこの情報が出てくるかどうかがポイントかなと思います。


(安岡)

それは買い手側のポイントですよね。


(川東様)

そうです。売り手も同じで、次に継承する人が、どんな経歴と経緯で継承したのかを問われるケースもあるので、そういった部分も見極めて売ることが大事かなと思います。


(安岡)

医療法人やクリニックは医療を提供するところであって、マネーゲームは合わないのかなという感じがします。


(川東様)

ある意味税金が投入されたものですから、公的な、インフラの一つとして見るべきですし、慎重に扱わなければいけないと思います。情報は隠して、取りあえず継承すれば、手数料さえ入れば、といった姿勢では、その地域の人たちから置き去りになってしまいます。売る人も買う人もその意識を持つことが必要です。仲介者も、オーナーにそこを意識してもらわないといけません。よくあるのは医療過誤の情報です。過誤があったことを知った上で継承するのかしないのか。


(安岡)

きちんとした情報ということですね。


(川東様)

そうですね。私の経験ですと、社会保険料未納の医療法人さんとか。売り上げだけではなく、税金をきちんと納めていたか、社会的な貢献などもポイントだと思います。


(安岡)

未納に少し関連して、例えば自費診療の回数券、その回数券を売った先をきちんと知っておかないといけない。回数券を売った段階では売り上げではないですよね。


(川東様)

預かり償却ですね。


(安岡)

回数券を売った金額が売り上げに乗っていて、患者さんがこれだけいますよと。でも実際に回数券を使う時にはお金は入ってこない。実際は労働力の負債のような状態で、それを知らずに買ってしまうと経営上の問題になるかと思います。


(川東様)

預かりなのか、償却なのか、一括で売上を立てているのか、売り上げを正確に計上していればいいのですが、そういった売り上げの仕組みや座組をきちんと把握することも大事だと思います。あとは、規定についても実情と合っていないものが時々あります。例えば、就業規則上では退職金ありとしているのに退職金を引き当てていないケースが結構あります。いざオーナーチェンジすると、就業規則に書いてあるから退職金ください、そこで引当金がないために全部負担というケースもあります。仲介さんに大丈夫です、人は全部ついてきますからと言われていても、実際辞めたときに退職金が払えない状態ということもあります。


(安岡)

他には何かありますか。


(川東様)

一番見極めが難しいのが人の継承ですね。

売上を維持したまま継承したい先生が多いので、スタッフはそのままですよねという確認をしますが、辞めてもらったほうがいい職員さんもいます。人を継承するときはスタッフの見極めも必要。箱物買うときのほうがまだ楽かなと思いますね。


(安岡)

例えば継承するとなったときに、新規開業と同じ形で新しい人も面談する、前から働いている人も面談して採用を決めるといったことは可能でしょうか。


(川東様)

そうですね。それをデューデリジェンスの中に盛り込むことが大事かなと思っています。継承が決まったら事前に面談をして、辞めるか辞めないかの判断ができて、新規で採用が必要なのかどうかを見極める期間を設けた上で、最終的な継承期間を定めないと、ふたを開けたら人が全部いないというケースもありますので。


(安岡)

継承のタイミングで、解雇も可能なのでしょうか。


(川東様)

契約にもよりますが、廃業して新規立ち上げとなれば、そこでいったんリセットですから、前オーナーさんがその時点で解雇しなければいけません。そういうデューデリジェンスはできると思います。ただ、継承となれば人はついてくることが前提になると思うので、まず辞めるか辞めないかの判断をきちんとしてもらった方が良いと思います。オーナーが変わるので、基本的に継続はするけど、これだけ変わりますと事前に予告をして、その上で退職するのかしないのか、その踏み絵を踏んでもらう時間をしっかりと設けられるかどうかだとは思います。


(安岡)

とても難しいですね。以前からいたスタッフは先輩だから、ルールだからと、新しいスタッフが我慢しなければいけないなども想像がつきます。


(川東様)

理事長の変更で院長が残って、スタッフはそのままだと、ただのオーナーチェンジのような感じなのですが、自身が院長で入るとなったときは、やはりそこの組合せは大事になってくるので、どの立場で入られるかで変わってくるとは思います。


(安岡)

最後に、新規開業とM&A、どちらが良いか悩んでいる先生に何かアドバイスはありますか。


(川東様)

先生の好みが一番大きいです。新規でやる方が好みの先生もいれば、立ち上げ時の売り上げ重視で、少々古いものを継承してもいいと思えるか。間に入る人達、もしくは事務長みたいな運営サポートをする人達が、その先生の好みを見極めて探してくることが大事かなと思います。

もう一つは、ここでもコンセプトをしっかりもっているかが重要なポイントです。どこでどういう医療をやられるか。その地域で求められている医療とマッチするものか否か。それがあればM&Aでも新規でもいいと思いますが、何をしたい、どこでどうしたいという軸がぶれないことがまず大事かなと。それによっていいM&Aもあれば、いい新規開業もある。事業計画を書く前の、先生がやりたい診療とか、地域で何を求められているかをきちんとリサーチして、軸がぶれない前提であれば、M&Aも新規もバランスよく探されると、近道が見つかりやすいのかなと思います。どちらかに選択を絞ってしまうと、その地域ではできないというケースもあると思いますので。


(安岡)

歪みが生じてしまうということですね。

ご自身が選ぶ医療をきちんと提供することが大前提で、新規がいいのかM&A、継承がいいのかという話はその後からついてくるイメージですね。

M&Aや継承なら最初から売上があるからいいですよ、という話もありますが、それだと先生がやりたい医療が後付けになってしまう。そうではなくて、やりたいことが本当にそこでできるのかというところが一番上に来ないと駄目だということですね。


(川東様)

継承の場合は特に、どういう層の患者さんが来ていて、どういう診察を受けている人が多いのか、それを自身が提供できるか、継続できるかどうかというのも、まず見極めの一つだと思います。そこの座組が全く変われば、患者さんがついてこない。自分の物差しを持って、継承に向いている案件があるのか新規が良いのかを見ることが大事かなと思います。


(安岡)

今日はここまでお話を聞かせていただき、ありがとうございました。


(川東様)

ありがとうございました。



川東社長は、医療・介護のコンサルタントとして、医療機関や介護施設の健全な経営・新規開業のお手伝いを行っている事をお聞きしました。お金・役務について、とてもバランスの取れたの考え方を持っており、人事労務に対しても経験豊富で様々な医療機関の事務長や役員になっている方です。


川東社長の今後の動きにも注目していきたいと思います。