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インタビュー:聖マリアンナ医科大学 麻酔科 井上莊一郎教授

聖マリアンナ医科大学 麻酔科 井上莊一郎教授にお話しをお聞きしました。

2020.03.04


非常に症例豊富な病院とお聞きしました。


年間6500~7500件の症例(麻酔科管理件数)があります。中でも循環器内科、心臓血管外科、脳神経外科、小児外科の症例が豊富であることが特徴です。TAVIは434件(2016~2019年)、Mitra Clipは84件(2018~2019年)の実績があり、国内有数の症例数を誇ります。合併症がある患者さんの手術も多いため、麻酔科医の腕を試されるような症例も少なくありません。専門医・指導医がいる環境で、若手のうちから多くの経験を積むことができますし、サブスペシャリティ領域の資格取得を目指す先生方にもお勧めできる環境です。



難易度の高い手術が多く、他科との連携も重要になりそうですね。


横の連携が非常に良いことは当院の特徴ですね。診療科間の垣根は低く、他科の医師から学ぶ機会が多いことも魅力だと思います。若手の麻酔科医が循環器内科医から経食道心エコーの指導を受けていたり、難易度の高い手術を検討する時は、定例会議以外でも関連する科がすぐに集まって議論を重ねたりと、診療科の枠を超えた組織力があると思います。


麻酔科医を育成する上で大切にしているお考えを教えてください。


麻酔科医は“総合医”になれると考えています。麻酔科医は、様々な疾患・手術に関する知識を得ていますし、日々あらゆる患者さんの全身管理を行っています。手術に至るまでの治療内容、持病の状態なども把握する必要がありますし、患者さんの術後まで一貫して関わることができるわけです。総合医としての力を養うにはもってこいの診療科ではないでしょうか。若手の先生方が麻酔科を経験していただくのはより広い視点を持つ良いきっかけになると思います。 もちろん、麻酔科医として専門性を高めるという事もできます。麻酔科は手術麻酔や集中治療、ペインクリニック、緩和医療、在宅医療などのサブスペシャリティも多く、活躍できるフィールドが広い科です。 総合医+専門医としての力を身につけて、自分の進みたい道を歩んでいくための自信にしてもらえたらと思いますね。



取り組んでいる研究について教えてください。


複数の研究が進行していますが、その中の1つに姉妹校の上智大学理工学部と共同して進めている「気管挿管操作時における身体動作および視線動態の解析」があります。これはベテラン麻酔科医の気管挿管時の姿を動作解析することで、姿勢や視点、腕の角度といった“フォーム”を数値化していく研究です。 プロ野球選手でもサッカー選手でも、プロスポーツで活躍する選手は、きれいなフォームを身につけています。この“フォーム”が麻酔の安全につながるかどうかを研究しています。今後、麻酔科医の教育や安全性の向上に結び付けていきたいと考えています。


医師の働き方は多様化していますが、先生はどのようなお考えでしょうか?


スタッフ一人ひとりの状況に合わせて、働き方を選択できるような環境づくりを進めていきたいと考えています。働きやすさを考える時に、子育てと仕事を両立する女性医師の姿が注目されがちですが、働き方は女性・男性、独身・既婚、子どもの有無といった特定のカテゴリーでくくれないものだと思います。テーラーメードの働き方は難しいのが現状ですが、少しでも多くのパターンを提案できるようにすることが私の務めだと考えています。


井上教授、ありがとうございました。



当麻酔学講座は1972年に高橋敬蔵教授によって開講され、以後、講座代表は青木正教授、山中郁男教授、舘田武志教授に引き継がれ、発展してきました。2016年から井上 莊一郎が第5代目を拝命しております。診療を通して、総合医としての力を備えた医師を育成し、日常の診療に反映させるとともに、調査・研究結果を発信し、社会に貢献していきたいと考えています。




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