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〈社長対談①〉株式会社LA Solutions 代表取締役 入駒 慎吾様

(安岡)

第一回DEPOC企画社長対談となります。

記念すべき第一回は、産婦人科専門医、麻酔科専門医のダブルライセンスをお持ちの医師で、株式会社LA solutions代表取締役 入駒慎吾社長となります。

入駒社長との出会いは、第118回日本産科麻酔科学会で初めてお会いしたのが初めてで、第122回日本産科麻酔科学会の会長を務められた際にお手伝いをさせて頂きました。私の妻(麻酔科医)の友人でもあり、家族ぐるみのお付き合いをさせて頂いています。

本日は入駒先生よろしくお願い致します。



(入駒様)

はい。本日はよろしくお願い致します。

株式会社LA solutionsの入駒です。初めに自己紹介をさせて頂きます。

私は1997年、島根医大を卒業しまして、2002年に産婦人科専門医、2011年に麻酔科専門医を取得して、ダブルライセンスを取得しました。

また、2012年聖隷浜松病院にて無痛分娩システムの立ち上げを企画しまして、その経験を基に、2017年4月、現在の株式会社LA solutions(無痛分娩コンサルティング業)を設立しました。2018年には『図表でわかる無痛分娩プラクティスガイド』という教科書を執筆し、同じ年の秋に、第122回日本産科麻酔学会の学術集会長を史上最年少で行いました。このとき、安岡さんにサポートしていただきました。翌年2019年に、グロービス経営大学院を卒業して、MBAホルダーになりました。


(安岡)

ありがとうございました。産婦人科専門医、麻酔科専門医、MBAなど、非常に経験豊な道を歩んでいらっしゃいますね。その結果、無痛分娩コンサルティング業という、非常に珍しいお仕事をされていらっしゃるかと思います。事業や会社を立ち上げるきっかけなどについて、教えて頂けますか?


(入駒様)

2017年に、日本の無痛分娩業界を揺るがす無痛分娩トラブル、産科麻酔トラブルの報道があり、それに心を傷め、日本の無痛分娩をどうにかしなきゃという想いで、株式会社LA solutionsを設立しました。



(入駒様)

日本の分娩施設は、年間200分娩から800分娩の小規模な施設が多く、大きな施設といっても、1000分娩から1500分娩がやっとです。

無痛分娩を提供する病院では、麻酔科医が無痛分娩に関わってるのは約47%で、一方、クリニックにおいては、約9.1%しかないんですね。(2017年日本産婦人科医会調べ)無痛分娩の件数は、病院とクリニックではほぼ同数なので、3分の2は産婦人科の先生が無痛分娩の麻酔を管理しているということになります。

一方、アメリカの現状ですが、巨大バースセンターといわれているような所で年間1万件以上の分娩が行われていますので、当然ながら、産科麻酔科医が分娩部に常駐できるという状況にあります。



(入駒様)

私が起業した理由として、日本全体の無痛分娩の質の向上には、産婦人科クリニックに対してアクションを起こさないと、現状を変えられないと思いました。

そこで、病院の勤務医を退職し、各クリニックに赴ける、無痛分娩コンサルタントとして現在の株式会社LA solutionsを立ち上げた次第です。



(入駒様)

会社の目標は、「無痛分娩に関わる全ての人の満足と安全への貢献」です。この全ての人とは、患者さんだけではなく、医療従事者に対しての想いも入っています。医療従事者の安全や満足度が上がることによって、無痛分娩の質の向上も担保できると考えています。


(安岡)

ありがとうございます。実際は、どの様なサービスをされていらっしゃるのですか?



(入駒様)

株式会社LA solutionsの提供しているサービスは、無痛分娩の全症例の振り返りを中心に行っています。無痛分娩症例を、1例1例、細かく分析して、未来につなげる何かしらの反省点を得ることを、徹底的にやっています。

通常、ドクターはカンファレンスで、自分の担当してない患者さんのことも、自分事のように経験し、ノウハウが蓄積されていきますが、助産婦さんや看護婦さんはこのような経験する場所がありません。

その施設で起こった全症例を、助産師さんや看護師さんが振り返る事で、現場のノウハウが蓄積されていき、安心安全な無痛分娩につながっていきます。


(安岡)

助産師さん、看護師さんでもカンファランスをやるのは、経験値を上げていくにはとても良い取り組みですね。時間が無い中、カンファランス効率的に行えるのは、コンサルティングの強みとも言えますね。



(入駒様)

おかげさまで、弊社の業績は、最初スタートアップ(緑色)のときから、学会や書籍発売によって成長し、コロナ禍になっても、横ばい以上の流れで来ています。

現在、弊社で関わる無痛分娩は日本で行われる無痛分娩の約5.6%です。



(入駒様)

また、実は新型コロナウイルスが拡大する1年前から、Zoomのオンラインサービスを始めていましたが、今ではもう、全症例振り返りのコンサルティングは全てオンラインで行っています。ノウハウ提供の拡大には、現在のDXが一役買っていることは間違えないと考えています。


(安岡)

なるほど。コンサルティングやノウハウの医療機関への共有が、時代の流れに合っていた感じもしますね。身一つでやられている事かと思いますので、とても、効率化につながっているかと思います。その先のDXについては何か企画されていますか?



(入駒様)

次に、自分(入駒)のノウハウを、無痛分娩記録の機器に入れ込み、無痛分娩の記録がされると同時にアドバイスがされれば、振り返りよりもリアルになります。

実はこれ、開発中です(笑)エレクトロニックレイバーアナルゲジアレコード、長いですが、レイバーアナルゲジアが無痛分娩ですので、無痛分娩記録のエレクトロ版ということで、eLARと呼んでいます。

入力だけの1.0に関しては、もう完成していて、次に2.0、3.0を目指しています。2.0はアラームで危険を知らせる機能を付ける予定です。3.0は入力後に指示出しまでできる機器を目指しています。もちろん、特許は、今、出願中というところまで来ています。

こういった形でDXによって、入駒個人のノウハウをもっと広げやすくしていこうというのが、現在の弊社の事業プランということになります。


(安岡)

それは、すごいですね。ノウハウの蓄積と症例の振り返りで、情報が集まれば集まるほど、アルゴリズムやAIなどで、更に学習していき、より安心安全な医療が提供できる状態が作れる気がします。また、医療者にとっても、DXされた何かが横にあることで、臨床上、幸せになれる道筋が描ける気がします。


(入駒様)

医療って、意思決定の連続だと思うんですが、自信のある意思決定が増えることによって、もっと大事なことは、もっとクリティカルなことが起こったときに、そこに自分のいわゆる脳のリソースを割けるんですよね。普通のことが淡々と進むっていうのが大事だと思うんですよ。それに寄与するかなと思ってます。


(安岡)

おっしゃるように、別のところの気を遣えるっていうことが、やっぱり、身体は一つ、脳みそ一つですので、そういう意識でいくと、非常にいい方向にいきそうだなっていうのも、これをお聞きしてるだけでも、分かりますね。


(入駒様)

ありがとうございました。


(安岡)

入駒先生ありがとうございました。


入駒氏は無痛分娩が少子化対策になるとも話していた。

コンサルティングを行っている施設の無痛分娩を行った194名にアンケート調査を行い、「無痛分娩があったら更にもう一人産めますか」という質問に対して非常に高い割合で、もう一人産みたいと答えているという結果の論文を執筆中だ。


医師から起業家に転職した入駒氏の活躍から目が離せない。


 


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